身体の風水を司る「先天一元気功


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風水は、自然界の「気」の流れを知り、槍殺等の悪い気を避けて、良い気がある場所を探すこと最大の目的とします。
気功は、身体の「気」の流れを知り、体の中から悪い気を出し、元気という良い気の力を強めることを最大の目的とします。

風水と気功は、表裏一体の関係にあり、気功の達人は、自らの意志で、風水の気を体の中に入れることができます。更に、体の中にある気を、体の外に出すことができます。中国では、主な中医(=漢方)大学病院で気功治療が行われています。気功治療で、外気療法とは、気功師が体の中にある気を出して治療する方法です。風水の良い場所で、長期間生活するのと同じ効果を発揮します。

心地よい生活とは、風水の良い場所に住み、気功により、自らの気も良くするです。

このホームページでは、風水と表裏一体の関係にある気功、特に、風水で、強力な守護力があるといわれる「先天八卦」から生まれた「先天一元気功」の考え方を記載します。

奇蹟を呼ぶ先天一元気功

筆者は、企業の広州事務所代表として、1987年10月11日に赴任しました。当時の中国華南地区は、宴会の度に、50度を越えるマオタイ酒や五粮酒を使う習慣がありました。駐在員事務所の代表は、宴会の度に一人で中国人7〜8人を相手に乾杯をする必要があり、お酒を飲み過ぎる傾向にありました。

筆者が、駐在をはじめた頃は、駐在前の健康診断にも合格し、体に問題の無い状況でしたが、毎日のように続く宴会で、次第に肝臓の機能が悪化しました。特に、駐在が1年を経過した時点から、体調が悪くなり、熟睡出来ない日が続きました。駐在員事務所の中国人スタッフに相談した所、広州中医大学付属病院を紹介されました。1988年2月24日に同病院で検査を受けた所、肝臓硬化との診断を受けました。肝臓硬化とは、深刻な肝臓病を意味すると分かり、一瞬、眼の前が暗くなる思いをしました。回りの人の表情も暗く、かなり重い症状にあると、認識できました。同病院の医者は、特別な漢方薬を調合してくれ、高価な漢方薬を受取り、治療を開始しました。2週間後、日本で精密検査を受けましたが、その結果は、GPTが161、γ−GTPが154と、薬数回分が現地ロ−カルスタッフの1カ月分の給与という高価な漢方薬のお蔭もあり、肝臓機能は幾分回復した模様でした。しかし、正常値の5倍という極めて高い数字は、悩ましい限りでした。中国に帰国した後も、連日、宴会が予定されており、マオタイ酒が夢にまで出て来ました。

このような健康状態で悩んでいた所、中華人民共和国中山大学教師から、企業の在員事務所スタッフとして移籍してきた陳氏より、気功を薦められました。最初は、広東省対外労働服務公司の紹介を受け、某著名気功師と気功レッスンの交渉をしましたが、「気」の存在を示してくれる訳でもなく、1回数万円と、高いレッスン料を要求するばかりのため、謝絶しました。次に、広州市対外労働服務公司より、広東省では、第一人者 で、且つ、人格者といわれる陳炎烽老師の紹介を受けました。本気で、気功を信じ、病気を直す気持ちがあるなら、レッスン料は、通常の広州市の規定料金でよいとの事で、先 ず、「気」の存在を教えて頂きました。陳炎烽老師の持つ「奇跡を呼ぶ気の力」は凄まじく、筆者のような凡人でも、瞬時に、「気」の存在を理解出来ました。陳炎烽老師の手や眉間から出される「気」は、筆者が、正常に立つ事を許さない程で、「空気投げ」「念動力」の存在を自ら体験させられました。

陳炎烽老師の下、毎週3回のスケジュ−ルで、気功のレッスンを受けた所、肝臓の調子が良くなってきました。毎回のレッスンで、肝臓の機能が改善されるのを体感出来る程でした。

3カ月後の1988年6月21日に、日本で精密検査を受けた際には、GPTが19、γ−GTPが23に下がりました。GPT161、γ−GTP154という三桁の高い数値が、短期間に正常値に戻りました。マオタイ酒・五粮酒という度数の高いお酒で宴会を続ける傍ら、肝臓の数値が戻った訳ですから、気功が奇跡を呼んだとしか考えられませんでした。

1987年〜1988年に、陳炎烽老師の下で、謝水明氏が気功の修行を続けていました。同氏は、在日華僑で、職業を全て捨て、気功療養・風水地理に人生を欠ける目的で中国に渡って来ました。陳炎烽老師の自宅の近くで下宿し、朝から晩迄、修行を続けまし た。1988年の夏に、日本に帰国してからは、按摩・指圧・鍼灸・接骨の専門学校を卒業した後、風水や気功を柱にした養生法の研究を続けています。

1991年3月に、同氏は、中国に戻り、中華人民共和国先天一元気功家元兼国立広州大学気功教室付教授の陳炎烽老師より、先天一元気功師の資格を授けられました。本資料は、謝水明氏の協力を得て作成しました。謝水明氏は、風水の本も出版されており、風水と気功を実践する日本の第一人者です。

気功とは心と体を同時に鍛える健康方法です。ジョギング、体操、心理療法とは異なります。よい食事や充分な睡眠、過度な労働を避けるといった一般的な保健方法とも異なります。その違いとは、気功は、大極拳と同じく体を鍛えると同時に、自らを気功状態に入れ心のトレ−ニングを行う点です。
先天一元気功の心を鍛えるトレ−ニングとは、「心」の静かな状態で、心象イメ−ジング練習を続ける事によって、人間誰もが持つ潜在能力を引き出すことを意味します。 先天一元気功のトレ−ニングは、まず、練習の心得から入ります。これは、先天一元気功を学ぶ上での基本事項であり、心得を守る事により、効率よく安全な練習を続けられます。

基本編

練習心得

1.正・鬆・静・空

→ まず、心を正しく、私達の目標は病気を直し、体を強くすることです。意識を 集中し、順序に従い、決して急がないこと、焦らないこと。 次に、姿勢を正しく、百会穴(*1)・会陰穴(*2)・湧泉穴(*3)を沿 直線上に並ぶように、固くならず、又、前後に傾かないこと。

*1:百会穴 ヒャクエケツ 頭の頂上で、指で探ると、大きくくぼんでいたり、段がついていたり、ブヨブ ヨしている事が多いツボ。正中線と両耳の先端を結ぶ線とが交わるところにあ ります。

*2:会陰穴 カイインケツ 体の前面を通る任脈経絡の出発点で、恥骨と尾骨の中間、肛門の手前にあるツ ボ。
*3:湧泉穴 ユウセンケツ 足底の親指と第2指の間の付け根から足の中心に向かって5〜7センチの所に あるツボ。命の泉の湧く所との意味を持ち、足の指を曲げるとヘの字にくぼむ ところにある。

→心身をリラックスさせること。何も欲せず、自然に目を閉じ、少し微笑み、強 ばらない。リラックスは先天一元気功を学ぶ上で、動作の要領を把握するのに 役立ちます。リラックスにより全身の気血の運行が滑らかになり、病気を治す と共に、体を強くします。

→ 心は鬆の如く動ぜず、雑念を排し、精神を集中し、大脳を一種の安静状態にし ます。脳波には、α(アルファ)波、β(ベ−タ)波、θ(シ−タ−)波、Δ (デルタ)波の4種類のパタ−ンがあります。人間が目を開けて活動している 時の脳波は、13〜26Hz のβ(ベ−タ)波を示しますが、落ち着いた状態 になった時、8〜13Hz のα(アルファ)波が現れます。さらに、半意識下 ・識閾下の状態になると、4〜8Hz のθ(シ−タ−)波が現れます。無意識 下、或いは、眠っている状況だと、1〜4Hz のΔ(デルタ)波が現れます。 先天一元気功の「静」とは、脳波をβ(ベ−タ)波からα(アルファ)波の落 ち着いた状態に移行させる為の安静をもたらす事を意味します。

→ 一切を空にし、我を忘れ、何も考えず、恬淡虚無の世界。即ち、練習時は、外 界の音も聞こえず、雑念も生ぜず、体を空になったようにします。脳波の状況 は、「静」によりもたらされたα(アルファ)波の状況に加え、半意識下・識 閾下の状況であるθ(シ−タ−)波へと変化します。「空」は、超感覚的知覚 の世界(Extrasensory Perception )への道も開きます。「静」と「空」によ って、シ−タ−波トレ−ニングが行えます。先天一元気功は、精神面では、中 国4千年の歴史に培われた中国流シ−タ−波トレ−ニングといえます。

2.不怕

練習中に生じる雑念、或いは、体の反応を恐れず、驚かず。先天一元気功を信じ、練習を続けること。万一、体が動きだしても決して恐れず、自然に任せます。又、無理に練習したり、体の反応を追求してはなりません。自然にそのまま放置することが肝要です。練習中に起こる幻覚、又、人によっては熱くなったり、寒くなったり、痛くなったりしま す。しかし、それも放っておきます。そうすれば、体は元の状態に戻ります。

3.不理

練習中に発生する体の反応や感覚に対し、構わない事を不理といいます。練習中に発生する現象に対して、恐がらないだけでなく、それを助長しようとする意思を入れないこ と。自然に任せ、構わないことが必要です。先天一元気功を一心に、正しい方法に従って練習すること。追求しないこと。何か起こって欲しいとか、何か現象が発生する事を期待しないこと。自然に任せること。そうすれば安全に練習することができます。
動功を主流にする気功流派では、頭痛、目眩、腹部膨張等の偏差(走火入魔)が起こるケ−スが多く見受けられます。これは、体の反応、感覚、現象を盲目的に追求する事によりおこります。自発動功の練習にあたって、自然に従って修練を積むのではなく、動触 (動きや各種の感触)の魅力に引かれて、ひたすら「理」を加え、それを求めることをすれば、知らず知らずの内に、動触の限度を越えた動作を作り出し、おさまりがつかなくなる可能性があります。先天一元気功は、動作を求めない静功を主流とし、動功は、上級者にのみ教授されますので、動触の限度を越えた動作を作り出す心配はありません。但し、「不理」は、先天一元気功の基本であり、理を加えず練習する姿勢を保つ必要がありま す。


先天一元気功の詩

〔詩の発音〕
心清気静皆長寿 シン チン チ ヂン ヂエ チャン ショウ
笑臉常開老不来 シャオ リエン チャン カイ ラオ プ チイ
我是空気 ウォ シィ コン チ
我是光 ウォ シィ グワン
我是水時飄飄C ウォ シィ シュイ シィ ピャオ ピャオ ダン

〔詩の意味〕 心を清らかにし、気を静めれば、皆、長寿を得られる。
顔いっぱいに笑顔をたやさなければ老いはやって来ない。
私は空気であり、
私は光であり、
私が水の時は、ひょうひょうと漂う。

〔詩の心〕
心を清らかにし、気を静めるとは、怒らないこと、興奮しないことを意味します。
笑顔をたやすのは、練習中は勿論のこと、日常生活でも微笑みを絶やさないこと。
空気・光とは、自分自身が空気や光の中に溶け込んだ気分になること。
水とは、温泉にゆったりとつかり、湯の流れのなかでゆられている気分。
夏は涼しい所にいると考え、冬は温かい所にいると考える「心」が、重要です。


先天一元気功の練習方法と姿勢

1.腹式呼吸
鼻で吸い口ではく 3回 合計 8回
鼻で吸い鼻ではく 5回
(八分目まで吸い六分目まではくイメ−ジで行う)
鼻で吸い口ではく→濁った気を口から外に出し、体を清め ます。
鼻で吸い鼻ではく→外の清らかな気を体に入れます。

先天一元気功では、腹式呼吸を先天呼吸とも言い、自分自 身を誕生する前(=先天)の呼吸に戻すイメ−ジで、気の エネルギ−を丹田まで送り込む呼吸をします。

2.舌頂上顎
舌を上顎の歯の付け根に軽くあて、気の流出を抑えます。

3.堤肛

会陰穴のツボをやや上に挙げ、気の流出を抑えます。
(トイレに行くのを我慢しているように、あまり力を入れな い。)

4.丹田内転
臍の下にある丹田のツボを中心として、左に36回、右に 36回の輪を描くイメ−ジ。左右36回を一セットとして 六セット実施。
自分自身の意念で、光の輪を丹田の回りに描く気分で、1 DD2ND3ND4と、同じ輪を36回描く。今は、輪の 存在を感じる事が出来ないが、練習を積み重ねる事により 先天一元気功特有の輪を実感出来ます。

5.丹田内転の呼吸

初級段階では、特別な呼吸は不要。普通の呼吸をして下さ い。

6.練習時間
夜、寝る前に練習をするのが理想的。 食事の後30分以上たたないと、練習を開始しないこと。

7.食事
食事は、腹7分目が理想。多くとも8分目に止めること。

8.練習時
丹田内転の3セット目〜4セット目で、体が前後に揺れる ことがあります。動きが、激しくならない限り、そのまま 放ってておきます。
動きが激しくなりそうな時は、目をあけると止まります。
丹田内転の最中に、手の先からはじまり磁気を帯びたよう になるが、そのままに放っておきます。
丹田内転の輪について感じられるようになった場合、輪が 自分自身の意思を越えて、動くことがあります。これもそ のままに放っておき、36回の内転数が分からなくなった ら、再度、初めから数を数えます。

9.下肢の重み
練習開始時は、下肢に重みを感じますが、練習が進めば、 楽に立てます。

10.顔のこそばさ
練習中に顔がこそばくなるが、これは気が全身を巡ってい る証拠。そのままに放っておきます。

11.服装
ねまき、トレ−ナ−等のゆったりした服装が良い。時計は 腕からはずします。

12. 練習終了後の注意
練習終了後、すぐに冷たい水を飲んだり、冷たい水で手を 洗ってはなりません。シャワ−もダメ。30分間待つ必要 があります。

練習方法と姿勢の解説

先天一元気功の練習姿勢には、立位、寝位、座位の3種類がありますが、一般的には立位で行います。

立位姿勢

服とベルトは少し緩め、意識はハッキリ、気持ちはゆったりと落ち着いて、両足を軽く開き、八の字となります。足と足の間は、概ね肩幅に開き、膝はやや屈し、腰を少しおとします。足の指でこころもち地面を掴み、顔は正面を向き、目は前方に向け軽く閉じま す。口は軽く閉じ、舌先は内人中(上顎)に軽く添えます。微笑みをたたえ、顔が緊張していたら力を抜き、気持ちをリラックスさせます。肩の力を抜き、両腕、両手は、自然に下に垂らし、軽く肛門をしめ、会陰をちょっと上に引きます。胸はそらさず、凹まさず、自然に開きます。腹の力を抜き、体の重心は足と足の中間でやや前よりに置きます。全身を自然にリラックスさせ、「正」「鬆」「静」「空」の心得を忘れないようにして下さ い。一般に南に向いて練習しますが、他の方向に向いても構いません。

歌訣

先天一元気功の歌訣(心清気静皆長寿DDD)は、練習の直前に黙読します。この五句の作用はとても重要で、身心をリラックスさせるだけでなく、情操を養い、又、練習を続けていると、黙読すると即座に心が落ち着き、いわゆる気功状態(虚無の境地)に入ります。この歌訣事態が一種の練習になるわけで、練習する人は、この歌訣を軽視してはなりません。
先天一元気功を練習するとき、練習姿勢に入ったら、この歌訣を黙読して下さい。一 句、一句ゆっくりと二回から四回連続して黙読します。黙読中は、この歌訣からもたらされる境地をしっかり体得して下さい。

「心清気静皆長寿、笑臉常開老不来」を黙読したとき、全身の筋肉、神経、血管、関 節、経絡、器官など、なるべく自然にリラックスするようにイメ−ジし、心は穏やかに、目は自然に閉じ、微笑みを浮かべ、自分は常に若いように想像します。

「我是空気」を黙読した時は、自分が一陣の風になり、空気の中に溶け込んだようにイメ−ジします。あたかも虚無の境地に入り込んだように。

「我是光」を黙読した時は、目の前に白い光が出現し、自分を包み込み、自分自身も光になった様にイメ−ジします。

最後に、「我是水時飄飄C」を黙読した時は、自分がとても綺麗な清水になって、風に揺れる様を描きます。もし冬であれば、まわりを温かいものが包み、もし夏であれば、まわりを涼しいものが包んで、ゆらゆらと漂うようにイメ−ジを描きます。

丹田内転

丹田とは、「丹」を植える畑のことで、先天一元気功の丹田とは、臍と恥骨の間で、男性は恥骨上廉と関元穴の間、女性は臍と関元穴の間に取ります。(関元穴カンゲンケツとは、恥骨上廉と臍の丁度真ん中のツボで、強壮・解熱・利尿等の作用があります。)丹田の大きさは、自分の拳より小さい位です。

内転法とは、丹田を意識しながら(意守丹田)、丹田にひとかたまりの「気」があり、白い光の輪に沿って回っているように想像します。光の輪は気のかたまりより少し大き く、回る速度は一定で、毎秒一回位です。まず光の輪に沿って左(時計の針と同じ方向)に36回まわし、次に右(時計の針と逆方向)に36回まわします。左右36回合わせて一組とすると、一組終わる毎に3秒から1分間止め、次の一組を始めます。一回の練習で四組から八組、進展状況に応じて十組、終始自分の意識で、光の輪に沿って回します。

内転を練習する時、丹田をあまり強く意識しないで下さい。だいたいこのあたりで回しているという程度で結構です。回す速度も早すぎないように、回してください。回している途中に、次の円を考えない様にしてください。内転をしているとき、気が散ったりし て、回した回数を忘れた時は、一端止めてから、又、最初から内転を開始して下さい。

初心者が内転を練習する時、「往々にして円が言う事を聞いてくれない状態」が起こります。「気」が、あたかもそれ自身、意思のあるが如く、勝手に早く回ったり、ちゃんとした円にならず乱れ飛んだりします。このような時は、一端止めた後、又、最初から内転を開始します。自分自身が「気」を指示するのであって、「気」が自分自身を指示するのではありません。陰陽のバランスを調整する為、左回りと右回りの回数を一致させる必要があります。

内転をするとき、「気」を回せない場合があります。無理に回そうとせず、丹田を意識して何か変化がないか見ているだけで結構です。内転法の練習を続けていると、丹田が膨張したり、暖かくなったり、熱くなったりします。時には「気」が外に漏れる感じが起こります。内転の練習が、基本的に完成した事を証明するもので、丹田の気が充分強化された事を示します。こうなる迄の期間は、数週間〜数カ月要するケ−スが多い様です。

内転法は、先天一元気功の基本練習です。円を描く事によって、丹田の位置に全身の気を集め、「元気」を養い、強化します

先天呼吸

先天一元気功は、穏やかな腹式呼吸(別の呼び名を先天呼吸と言います)を用います。息をすう時には、下腹を膨らませます。息を吐く時には下腹を凹ませます。呼吸法を練習する時には、気を丹田に吸い込むようイメ−ジします。初心者は呼吸八回からスタ−トしますが、しばらく練習し、腹部が痛む、或いは、胸が苦しくなる等の症状が現れなけれ ば、12回・16回・24回・36回と徐々に回数を増やして行きます。

先天呼吸を行うとき、最初の3回は、鼻で吸い、口で吐きます。病気の「気」を口から吐き出すような意念をもって3回の呼吸を行います。4回目からは、全て、鼻で吸い、鼻で吐きます。

気持ちを込めて、即ち、意識で呼吸をコントロ−ルします。但し、意識しても力まず に、吸いすぎず、吐ききらず、「八分の吸」「六分の呼」を心掛けます。呼吸は深すぎ ず、速すぎず、単なる深呼吸を追求してもなりません。吸う時は、細かく穏やかに、深く長い方が良いのですが、徐々に無理のないように行います。

初心者の間は、呼吸量が少ない為、呼吸間隔が短く、速くなります。練習を続けて行くうちに、自然と細く穏やかに、そして、深く、長くなります。

必ず自然に従い、成功を急いではなりません。急がばまわれです。もし、無理に腹を凹ませたり、膨らませすぎたりすると、腹筋を傷める可能性があります。練習の効果が現れませんので、必ず、正しい方法を身につけて下さい。正しい姿勢を保持するように努めていれば、練習時間の増加に伴い、呼吸も自然と細く長く穏やかになり、均等になって行きます。

先天呼吸は、気功を練習する上で、大切な基礎になります。又、気功練習のキ−ポイントです。気功状態に入るのを助け、丹田に気を収め、この後の「丹田内転」や「丹田正 転」等の練習準備となります。

先天一元気功では、初級段階では、「先天呼吸」「混沌初開」の呼吸方法を練習しま す。中級段階以上では、「十三穴位呼吸」「帯脈運転」「三才功」「老宮呼吸」「太陽吸光功」「採葯入炉」等の呼吸功法があります。特に、「太陽吸光功」「採葯入炉」は、

先天一元気功の奥義と言われています。

乾洗臉法

気功の練習が終わったのち、両掌をこすり合わせ、暖かくします。まず、左手で額を横方向にこすり、次に人指し指と中指で目の周囲を内側から外側へ擦ります。まず、眉の部分、次に目の下です。中指で鼻翼とその上方の髪際(はえぎわ)まで上下に擦ります。次に左手又は右手の中指と人指し指で唇の上下を擦ります。顎は耳の前から唇の下へ向けて擦り、最後に両掌全体で顎、額、耳の前へと下から上、横へと半円を描き擦ります。 各々36回行います。

混沌初回

先天一元気功には、「九転大運天」と言われる「動功」の功法があります。先天一元気功では、「動功」は、原則として上級者を対象とします。但し、唯一、「混沌初回」は、初級者を対象に教授する事が認められています。
混沌初回は、丹田内転と同様に立位、両掌は丹田の前でボ−ルを抱える形にします。その両腕をゆっくりと上外方へ開いて(広げて)下さい。同時に体の前面にある「任脈」 (別途解説)を上から下へ、順次開いていくようイメ−ジします。具体的には、まず顔面を開き(微笑む)、頚部を左右に開き、同様に肩・胸部、腹部、股関節、膝と順次左右に開いてゆき、最後に足底を開きます(湧泉穴を地面から少し離します)。これで、体の前面全てが開いた訳ですが、この時の姿勢は、両腕が肩とほぼ一直線上にあり、体はやや後ろに仰向いた形になります。
次に、両手をゆっくりと前内方、下方へ合わせて行きます。同時に背部の「督脈」(別途解説」を下から上へ開いていく様にイメ−ジします。この時、前とは逆に足底を閉じ (湧泉穴を地面につける)、膝を閉じ(膝を合わせる)、股関節を閉じ、腹部、胸部、 肩、そして頚部を閉じます。足底を閉じてからは、ゆっくりと腰を曲げ、膝を屈し、最後は完全にしゃがみます。両手の手背は互いに付け、指先は足底に向けて挿していきます。腰は出来るだけ曲げ、頭も下げます。このあと、ゆっくりと立ち上がり、元のボ−ルを抱える姿勢に戻ります。

混沌初回の功理

未だ陰と陽に分かれていない、単なる気の固まりが開合し、陰脈の海である「ダンチュウのツボ=胸の正中線上で、左右の乳頭の中間にある」と陽脈の師である「ダイツイのツボ=首を前に垂れて大きくとび出る骨の直下にある」を開くという意味があり、小周天を通す為の基礎練習になります。

胸部疾患、咳、息切れ、胸や肺の痛み、動悸、頚・肩の痛み、腰・背部の痛みのある症状に対し、有効な療養方法とされてい
ます。

乾洗頭法

朝起きた時に、頭のドライマッサ−ジを行います。5分〜10分程度、最初に爪の先で頭の後ろから前に向けてたたく。次に、前から後ろに戻す。爪の先でたたいた後は、拳骨で頭全体を叩く。熱を帯びるぐらいのイメ−ジで行います。乾洗頭法は、中国漢方医学の陰陽五行説上は、陽に属する部分のマッサ−ジである為、朝に行うのが良い。乾洗頭法を終了した後、顔を洗い、歯を磨きます。

陰陽五行説の内、陰陽学説は、上半身・背面・六腑・気・眼・耳・口・鼻・日中・作用力を「陽」と定義する。下半身・腹面・五臓・血・夜中・反作用力を「陰」と定義しま す。〔出所:中華人民共和国天津科学技術出版社 陰陽五行学説〕

乾洗足法

夜、寝る前に、足のドライマッサ−ジを行います。陰陽学説では、「陰」に属する下半身のツボは、夜にツボが開く為、マッサ−ジの効果が大きいとされます。
まず、「足三里」のツボを親指で100回擦る。次に、「三陰交」のツボを人指し指・中指で100回擦る。最後に「湧泉」のツボを200回人指し指・中指で擦る。「湧泉」のツボは、強く擦らないように心掛けます。

足三里 サンリ

足の脛骨の前面を下から膝蓋骨の方に向けて撫でていくと、膝蓋骨の手前5センチ位の所に脛骨が盛り上がった箇所、脛骨粗面があります。脛骨粗面の下から8センチ位外側に骨の丸い凸部があり、その凸部と脛骨粗面の下際を結び、その中間にグリグリしたすじある。このすじを押すと、足の第二指にひびく。ここを「足の三里」と呼ぶ。胃経のツボ で、消化器、呼吸器、心臓等の内蔵の病気や、ストレス症、半身不随等の養生にも使われます。

三陰交 サンインコウ

足の内くるぶしの上際から6センチ位上方にあります。脛骨の内縁を探ると骨の際に窪みがあり、ここを「三陰交」と呼びます。脾経・腎経・肝経が交わる場所という意味である。冷え性・生理異常・更年期障害・虚弱体質・胃腸障害等の養生に使われます。

湧泉ユウセン

前述した通り、足の指を曲げると「への字」に窪む箇所を湧泉のツボと呼びます。「命の泉の湧く箇所」という意味です。腎経のツボで、腎臓疾患・むくみ・心臓喘息・のぼせ・高血圧・不眠症の養生に使われます。

先天一元気功初心者の心得

練習が進むと、丹田内転は、左・右は自動的に回るようになります。練習時、息は自然に行う「不理呼吸」。回転と呼吸は、合わせません。将来、回転がうまくなれば、呼吸を合わせるのも可。足はあまり曲げすぎないようにします。
練習場所は、空気のきれい所、時間的に余裕のある時が良い。忙しい時、精神が集中出来ない時に、無理に練習するのは好ましくありません。正・鬆・静・空、不怕、不理の原則を貫くのが難しい為です。台風・雷等、天候が激変した時には、練習は行いません。

気功は簡単だが、成功は難しい。気功は病気を根本的に直すのが特徴であり、長い時間をかけて、練功(=練習)を継続する必要があります。先天一元気功の輪が最も重要であり、丹田内転の輪を描けない時は、手で回してもよい。風邪程度だと、練功を続ける事は可能であり、熱があり先天一元気功の輪を回せない時は、止めたままでもよい。輪は、最初の段階は、「手の輪」であっても、次第に「意の輪」になります。「意の輪」は、更 に、「気の輪」へと変化します。

心臓病患者に対する気功練習後の効果

上海市胸科医院の心臓病入院患者27名、心臓病通院患者8名、合計35名に対し、鬆静・自然呼吸を主眼に置いた練習を続けた。毎日2〜3回、一回につき30分の練習を続け、練習状態が良好な患者には、15分〜30分の練習時間延長を指導しました。

気功による養生事例

中華人民共和国常州市第一人民病院の李志如医師(気功師)の、1950年から同病院で気功治療を続けた記録です。

李医師の気功療養は、長寿功・馬山功・太湖式気功・三息運気法・昇降調息功等の功法を症状に応じて毎日数時間施す。 悪性腫瘍の患者122人(内、女性78人/胃癌15人・乳癌15人・鼻咽癌14例・肺癌8人・食道癌11人・大腸癌12人・子宮癌17人・白血病9人等)に対する李医師の気功療養の結果、全癒18人、顕著な効果があった人49人、効果があった人44人、効果の無かった人11人との報告があります。気功療養の効果があったと認められる人 は、合計111人で、有効率91%に達します。

気功療養が有効であった具体的事例を数例記載すると次の通りです。

〔白血病患者の療養例 女性36才 宋女史 上級職国家公務員〕
白血病を患い2年経過。同病院に来た時点で、白血球は、150,000個/mbに達し、鼻出血が頻繁に起こる状況にあった。李医師は、宋女史を昇降調息功、三息運気法、太湖式気功法の集団練習に参加させると共に、毎月、気功医師と連携し、調整気功処方を施し、必要に応じて薬の調合を行った。加えて、自宅では、三8運気法の気功練習を開始した。寒い日は、気功の集団練習を休み、無理をせづに練習を続けさせた。3カ月が経過した時点で、宋女史自身、力が漲ってくる感覚が現れ、食事が増し、睡眠が取れるようになった。体重も39キロから41キロに増加し、白血球の数も11,000個/mbに激減した。白血球の減少後も、太湖式気功法等の早朝練習に参加すると共に、夜睡眠の前に自宅で三8運気法の練習を継続した結果、1年後には、体重が49キロに迄増加し、仕事にも出れるまでになった。

〔肺癌患者の療養例 男性56才 徐氏 常州美芸社社員〕
上海癌専門病院にて、肺癌の手術。半年が経過した時点で、再び吐血。上海癌専門病院にて転移癌の診断を受け、再手術が困難なことから、気功医師の処方により、毎朝、1時間の気功練習に参加。3カ月が経過した時点から、吐血が起こらなくなり、6カ月が経過した時点から、体調の回復を自覚。以降、気功の練習を続け、既に、18年が経過。

〔胃癌患者の療養例 女性38才 馮女史 漁業会社社員〕
胃痛を4年前から訴え、上海癌専門病院にて胃カメラ検査の後、胃粘膜を採取し、精密検査をした結果、胃癌と診断。上海癌専門病院は、馮女史に対し、外科手術を勧めたが、馮女史は、手術を拒否。常州市に戻り、漢方薬と気功の療養を開始。李志如医師は、馬山功、昇降調息功による気功療養を指示すると共に、「半夏・貝母・肉桂・川連」等の漢方薬を症状に応じて調合。9週間経過した当たりから、体重が増加し、食事、睡眠も正常に戻った。1年後の精密検査では、胃、及び、十二指腸に異常が発見されなかった。

〔骨肉腫患者の療養例 男性17才 朱氏 高校生〕 溶骨性骨肉腫の為、右臂が動かなくなり、1年余り。日々衰弱が進み、一人では、日常生活を営めない状況になった。万策が尽きた状況で、気功療法を施し、長寿功、太湖式気功、馬山式気功の針対性功法を試みた。その結果、6カ月経過後、症状の悪化が止まり、日常生活を営めるまでになった。以後も、気功療法を続け、2年が経過したが、症状の悪化が止まっている。

〔末期食道癌患者の療養例 女性58才 趙女史 家事〕
食事が食べづらい状態が3カ月続き、上海癌専門病院にて精密検査を受けた結果、末期食道癌と診断。手術が不可能な為、放射線療法を実施。入院後、1カ月が経過し、食べ物が喉を通らなくなり、日々衰弱が広まり、白血球も2400個/mbに減少。病院を出て自宅に戻った後、気功師の勧めで、真気運行法・太湖式気功を始めると同時に、長寿粥 (中国の漢方粥)1碗を一日3回の気功練習の後、食べる努力を開始。1カ月後には、長寿粥も十分に食べられるようになり、饅頭も食べ始めた。3カ月後には、御飯も食べれるようになった。気功練習の時間も毎日4時間から5時間に増やし、睡眠は8時間から10時間取る習慣をつけた。その結果、6カ月後には、通常の食事が取れ、1年経過した現在も通常の生活を営める状況が続いており、末期食道癌の進行を抑えることに成功してい る。

(出所:中華人民共和国人民衛生出版社 気功医療経験録)

[心臓病患者に対する気功練習後の効果

上海市胸科医院の心臓病入院患者27名、心臓病通院患者8名、合計35名に対し、鬆静・自然呼吸を主眼に置いた練習を続けた。毎日2〜3回、一回につき30分の練習を続け、練習状態が良好な患者には、15分〜30分の練習時間延長を指導しました。

動悸を訴える患者32名については、気功練習による効果が全員32名について認められた。高血圧性の心臓病患者9名については、気功練習による効果が8名について認められ、血圧の下降が見られました。冠状動脈硬化症の心臓病患者11名については、気功練習により、10名について狭心症等による胸の圧迫感が改善し、発作の軽減が図られました。

(出所:中華人民共和国人民衛生出版社/気功療法集第3巻)
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